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「あの木の根元、魔力が溜まっている」
ユーナが俺の手を取り、引っ張っていく。
お宝発見か!と思うと大体それは『落とし穴』の魔力。
気のせいかもしれないが、落とし穴に落ちた日は何故か俺の魔法能力が上がっている気がする。逆にユーナは疲れているようにも見えるが…。
俺は闇雲に探すのは時間の無駄だからと言って、学校敷地内の地図を書き、ユーナに渡す。
探した場所に色を塗り、発見した落とし穴と落ちる先の場所を記入する。
意外に落とし穴はまだ存在するようで、3日に1個の割合で見つけた。
落とし穴を見つけ次第ネイマール先生に報告し、目の前で無効化してもらっていった。
―――ドタドタッ。
宝探しを始めて1ヶ月。期末試験が始まる直前の事だった。
今回落ちた先は、初めての室内。
「痛た…。ユーナ、大丈夫か?」
毎度ユーナの下敷きになっている俺は、一応ユーナの心配をする。
「平気。いつもありがとう」
ユーナはゆっくり起き上がりながら、部屋の内部を見回す。
誰か先生の研究室のようだ。
流石に俺も、教室や図書館など出入りが許される場所なら室内でも覚えがあるが、個人の部屋となると……。
「ここ、もしかしてイルジュ先生のお部屋?」
そう言われれば、確かに魔法彩学のイルジュ先生の研究室かもしれない。
色とりどりのガラス製の盾、マント、杖、宝石。
見たことのない、何かを計測する装置まである。
期末試験直前に、先生の研究室に居るのはちょっとヤバくないか!?
「ユーナ、早く出よう……」と立ち上がったその時、イルジュ先生が入室してきた。
「お前たち、そこで何をしている。どこから入った!」
すごい剣幕のイルジュ先生。
驚かれて当然だ。さっきイルジュ先生は鍵を開けて入ってきたのだから。
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