お宝探し

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「落とし穴を作った同時刻、半径20m以内に誰か魔法能力が高い人間でもいようものならそこが転送先になったという事だ。風呂場なんぞ、人が集まる場所だから時間帯を考えれば狙えたのではないかと思うがな。私の部屋もそうだな。昔から魔力の高い魔具や石を保管してあるから…っとに仕方のないヤツだ」イルジュ先生は深いため息をついた。 (もしかして、ネイマール先生のお兄さんも『お宝』を探していたのかな)  ユーナに耳打ちされ、そうかもねと頷いた。  学校内のそこら中に落とし穴が作ってある理由はイタズラでは無く、まんべんなく調査するためのローリング作戦。  可能な限りの範囲で探索魔法を発動し、魔力が存在する場所を全て当たっていけばいつか『お宝』に出会うかもしれない。  だったらその情報をどこから得たのだろう。  ユーナの父親のように誰か身内にトレジャーハンターでも居るのだろうか。   「……お前たちは、ネイマールに清掃作業を依頼されたのではなく、落とし穴を探すように命令されたのか?」とイルジュ先生の低い声。 「えっ…いや、その…」 「しかも落とし穴は既に幾つか見つけている。違うか?もしそうなら本当にお前たちはネイマールにいいように使われているのだ。その証拠にネイマールはこの学年主任である私に落とし穴の報告をしていない」  何も言えずにいる俺らの顔色を見て、イルジュ先生は何度目かのため息をつく。
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