24人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
俺はリビングで両親にテストの結果を見せ、頭を下げる。
「ごめんなさい。今回のテストではトップどころか4位にも入れませんでした。次は頑張ります。決して安い授業料では無いこともわかっていますが、後期の授業料の納付をお願いします」
下げた頭を母がポンポンと優しく叩く。
「頭を上げなさい。大丈夫、あなたが今まで頑張ってくれた分を残してあるから心配しなくて良いのよ」と母。
「子供に金の心配をされるとは、我ながら情けないな。確かに会社の景気は良いとは言えないが、今のところなんとか保っている。15年前のようなことがない限り、潰れはしない」
この世の中、魔物の出現数で景気が左右される。
出現数が少なければ、父が勤めるような一般企業の景気は良くなる。
逆に出現数が多い、もしくは強い魔物の出現率が高ければ、魔法関連の企業の景気が良くなり、一般の企業は存続の危機に陥る。
今から20年くらい前、魔物の出現数が急激に減った。
それは一般の企業の景気にすぐさま反映され、一流企業でなくても多少贅沢が出来る程だったらしい。
だがそれから5年後、ちょうど俺らが産まれた年に大人しくしていた魔王が大暴れし、一般の社会は崩壊しかけた。それを現代の魔法使いが食い止めたというが…。
それ以来魔物は出現し続け、一般の企業は不景気のままなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!