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この世界は数百年前突如現れた魔王により日々恐怖に苛まれ、魔物や黒魔法を使う魔族によって人間社会は何度も崩壊の危機にさらされている。
しかしそれを防ぐのは、同じく数百年前から存在する魔法使いの一族。
世界中に散った魔物達から人間を守るために、魔法使いは仲間を増やし日々鍛錬し、常に魔物と戦っている。
「イルジュ先生。先生の魔法彩学こそ、ソルトのような努力家の為にある分野なのでしょう。それにソルトだって、これから伸びる可能性を秘めているかもしれませんよ」
ジャンがイルジュ先生に圧倒されながらも、俺の為に虚勢を張ってくれる。
ありがとう、ジャン。本当に…そうであったらいいのにな。
俺の血筋はジャンの家と違って、どれだけ遡っても魔法能力が低い平民だ。
たまたま俺が親類の中では比較的魔法能力が高かっただけでもてはやされ、調子に乗って魔法学校へ入学したが身の程知らずもいい所だった。
幼いころから魔法に慣れ親しんだ同級生に、魔法分野で敵うはずもない。
「魔法彩学は魔物と戦う魔法使いの為の学問だ。進級試験に合格するためのものではない」
イルジュ先生は全てお見通しだと言わんばかりの視線を俺に向ける。
別に進級試験に魔法彩学を活用することは違反ではない。
イルジュ先生の魔法彩学とは、この世に存在する魔法に対して色がどのように影響を及ぼすか研究された学問だ。
例えば何かを浄化するためには、青の衣類や宝石を用いると効果が高まる。
暴走しがちな攻撃魔法を抑えるためには桃色のブレスレットを所持する、など色と魔法の関係性を明確にしたものだ。
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