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俺は今、学力でなんとか首席を保っているけど……正直これから厳しいだろうな。
俺には魔法能力以外にも問題はある。
ずばり、金だ。
ジャンのように『中流家庭』ながらも優秀な魔法使いの家系であれば、このまま普通に高等部を卒業し、それなりに良い魔法使いの企業へ就職できるだろう。
しかし俺の家はいわば『一般家庭』。要するに金がない。
マーナ魔法学校だけでなく、全ての魔法学校では学費が高い。
そんな俺がとりあえず中等部を無事に卒業できた理由は、マーナ魔法学校独自の奨学金制度のおかげだ。
マーナ魔法学校の学年1位は学費全額免除、2位は3分の2免除、3位は半額免除、4位は3分の1免除となっている。
その査定は半期毎となっており、俺はとりあえずこの1年生の前期も学費が免除となった。そして首席のため、入学金も免除だ。
一般家庭であればよほどの一流企業に親が勤めていなければ、魔法学校に入学出来ても学費を払い続けるのは難しく、中退してしまう生徒も珍しくない。
中等部の頃の俺は死に物狂いで勉強し、何とか2~3年生では1位を維持してきたわけだが……。
「高等部からは魔法の実習がある。魔法能力が低いお前じゃ努力だけではどうしようもならんだろうな」と言い残し、イルジュ先生は去っていった。
確かに数値で表しても、俺の魔法能力は低い。
高等部入学前の身体・魔力測定で平均値を大幅に下回っており、中等部入学時の測定値とほぼ変わりがなかった。
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