魔法学校の秘密

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魔法学校の秘密

 入学して4か月が過ぎた。  一般的な高校では今は長期休暇に入っているが、魔法学校は二期制のため学期末試験が終わってから長期休暇に入る。  日差しの強いある日の昼休み、今日欠席したクラスメイトが滞在している男子寮へ荷物を届けて欲しいと、イルジュ先生から依頼を受けた。  イルジュ先生の授業は俺にとって物凄くわかりやすいし、ためになる。  それに俺と顔を合わせては嫌みを言いながらも、授業でわからないところは無いかと気にかけてくれるので、非常にありがたい。  だからどれだけ嫌みを言われても無碍にすることは出来ず、こうやって使いっ走りを引き受けてしまう。  俺は実家から通学しているが、生徒のほとんどが入寮者だ。  男子寮は校舎から林の1本道を抜けたところにある。  木陰になっているからか、歩くには気持ちの良い道だ。 「散歩には持って来いの道だけど……地味に遠いよな」  移動魔法が使えればどれだけ遠くても問題なさそうだが、基本的に学校内では魔法を授業以外で使用することを禁止している。  過去にどこに通じているかわからない『落とし穴』を作って退学となった生徒がいたという。まだどこかに落とし穴がいくつか存在しているという噂だが……。 「じゃ、ゆっくり休めよ」  俺は男子寮の玄関口で、クラスメイトに荷物を渡す。任務完了だ。 「ちょっと遠回りしてみるか」  落とし穴を探すわけではないが、時間もあるので少し林を散策することにした。昼休みということもあって、寮の周りはひと気がなく静かだ。
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