魔法学校の秘密

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 入学式の日は寮周辺も花であふれていたと聞いたが、今は普通にわずかな花が咲いているのみ。  あの演出は高等部3年生によるものらしい。  植物系の魔法はリリーが得意だ。  そしてジャンは遠隔魔法。皆それぞれ得意とするものを持っているが…。 「俺はどれも今一つなんだよなぁ……」  俺が中等部の頃、担任だった先生は「どの種別の魔法も伸びる可能性があるという事だよ」って言っていた。  しかし高等部に入って実際に魔法の授業が始まってみると、予習がしてあるにも関わらず先生が何を言っているのかわからない時がある。魔法センスがあるやつなら理解できるような内容が、俺にはピンとこないのだ。  今はジャンとリリーのおかげで何とか授業について行くことが出来ているが、そのうち専門分野が絡んでくると、あのふたりでは間に合わないかもしれない。  いつの日かイルジュ先生の研究室のドアをノックし、頭を下げざるを得なくなるのだろう。学年主任でもあるイルジュ先生は、意外に他の魔法学にも詳しい。  はぁ、と俺は散策しながらひとつ深いため息をつく。  ……入学4か月でこの調子だと先が思いやられる。  こんな俺より、魔法能力の低いクラスメイトがいることを先日知った。  確かそいつは編入生だったはず。  むしろそんな魔法能力で、しかも大した学力も無くてよくこの学校の高等部に入れたなと疑問に思う。  ふとその『魔法能力が低いクラスメイト』が、男子寮の裏手の林で座り込んでいるのを見かけた。
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