魔法学校の秘密

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 青みがかった黒のストレートな長い髪。  アンティークの人形のように白い肌。  深く引き込まれそうな光のない藍色の目。  編入生であり普段から誰と喋るわけでもない、存在感がまるでないだが、注目してみるとなかなかの美人だ。  その『魔法能力が低いクラスメイト』もとい…刈られた草の上に座り込んでいる女の子、ユーナに声をかける。 「こんな所で何やっているんだ?」  いくら学校内とはいえ、昼休みにこんなひと気のない場所にひとりでいるのはよろしくない。  ユーナは驚いたようにこちらを見たが、見知った顔だったためか安堵の声が漏れた。 「この場所がどこなのかわからなくて…学校内なのかもわからなかったから、誰かが通るのを待っていたの」  は?迷子になったというのならともかく、学校内かどうかもわからない?  俺は眉間に皺を寄せる。  ユーナは俺の表情をチラチラ見ては視線をそらし、状況を把握しようとしているのか、少し考える素振りをする。 「あ、あのね。私、ここにワープしてきたみたいなの」 「は?ワープ?……学校内での魔法の使用は禁止されているはずだけど?」 「わ、私が使用したわけじゃないの。私、さっきまで貯水槽の裏手に居たのよ」  貯水槽?こことは全く違う場所ではないか。 「確か貯水槽のフェンスに触れた時、急にその腕を引っ張られたように引き込まれて、この場所に移動したの」  それが本当なら、噂にあった「落とし穴」の残りなのかもしれない。 「よし、じゃあ俺が試してみるから場所を教えて。それで先生に報告して魔法を解除してもらおう。ほかの誰かが同じような目に遭うといけないからね」
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