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俺はユーナと一緒にその貯水槽の裏手に向かった。
そこはひどく草が茂っていて、蛇でも出そうな場所だった。
「どこ?」
俺は言われた場所辺りのフェンスをペタペタ触る。
「この辺りだったと…」
「本当に?それより何でこんな所に……!」
急にグイッとフェンスの向こうから引っ張られ、暗く深い穴に落ちる感覚があった。
ドシンッ!
「うわぁっ!」
穴の底に落ちたのかと思えば、先程ユーナが座り込んでいた場所だった。
「ほ、本当に…」
座ったまま辺りを見回し、自分が落ちてきた方向を確認しようとした瞬間、フッと急に視界を遮る物が出現したかと思えば、俺の腹の上にユーナが落ちてきた。
「ぐぇっ!!」
「きゃあ!ご、ごめんなさい!」
ユーナは貯水槽の裏手で待っていてと、言っておけば良かった…。
再びユーナと一緒に貯水槽の裏手へ向かう。
途中、攻撃魔法の講師であるネイマール先生に出会った。
「二人とも、もうすぐ昼休みが終わってしまうよ。この先は校舎も宿舎も無いけど…二人で散歩かい?」
ネイマール先生は銀髪碧目の、新任の若い男性講師だ。
背が高く顔面偏差値もかなり高い目なので、女生徒が休み時間のたびに与えられた研究室に入り浸りだと聞いているが……。
「先生こそ何を?……あぁ、何でもありません」
成程、その女生徒たちから逃げて隠れていたというわけか。
「僕だって昼休みぐらいゆっくりしたいからね」と先生は肩をすくめる。
俺とユーナは目を合わし、誤解のないように見つけた魔法の落とし穴の事を報告した。
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