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「ところで、なんで友都は料理とか家事が完璧なの?そういえば、裁縫も出来たよね?」 夫婦ごっこをしている間、ずっと気になっていたことを、今更だけど聞いてみた。 「…それは、美都は覚えてないみたいだけど、子供の時に僕に、大きくなったら私のお嫁さんになれって、美都が言ったから…」 友都は、恥ずかしそうに視線を泳がせて、ぼそぼそとそう答えた。 えっ?私そんな事言ったっけ?それに、そう言われたから料理とか得意って、どういうこと? 「僕さ、美都のお嫁さんになるために、一所懸命花嫁修業したんだよ。なのに美都は忘れちゃうし」 あ、友都いじけてる。こういうところも、花嫁修業しちゃうところも、かわいいんだよね。 「ごめんごめん。でもほら、こうして私のお嫁さんになれたでしょう?」 「僕は、美都をお嫁さんにしたいんだよ。でも、いいよ、美都の隣にいられるなら、僕がお嫁さんでも」 照れくさそうに友都は笑って、私の手をぎゅっと握った。 『僕の夢は美都のお嫁さんになることです!』 子供の時に友都がそんな事を言っていたことを、今この瞬間に思い出して、私はプッと吹き出した。 私達、すっごく遠回りして、こんな形の夫婦になったけど、それでも、きっとどんな夫婦よりも幸せだよ。 こうして私達は夫婦ごっこを無事卒業しました!
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