父親

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ーーーー ーーー  夢であれば、と思う。  眩しい日差しの中で、白けた空を見ていた。  それは意識をぼかし、幻想的な感覚。無意識に寝てしまっていたのか。    監視していた彼女が、車を飛ばして走り去って行った。  宣告まで自殺しそうな青ざめた顔をしていたのに、急に瞳の中にギラつきを取り戻していた。いい結果を電話で聞いたのだろう。 「…私は、お役御免だな」  そう自分で言っておいて、寂しい気がした。似合わない事をして来た。現場に出て、銃を握ったり、忍び込んだり…案外楽しかった。  出雲や吉野とつるむのは、楽しかったのだ。 「そうだ、楽しかったんだ。楽しかったんだよ。」  背負う事を辞めた自分に、もう何かを想う権利なんてない。  自分は、大きな罪を背負ったのだ。  今を捨てて、次を守る為に。 「…さあ、待とう。次はもっと、出番があればいいんだけどね。」  鬼越は、ネクタイを緩めて、酒を飲む。  彼ら彼女らの最後を見届けれないのは残念だが、どうか彼ららしく前のめりに散って行く事を祈る。 「ああ…そうだ…。悔いはない。悔いなんか最初から、なかったんだ。」  
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