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警視庁刑事課大会議室に黒スーツの一団がずらりとその身を並べる。これから刑事全課並びに他課を合わせて、広域重要事件となったジャーナリスト殺害事件について、捜査会議が行われるのだ。
出雲は配属初めての事態に落ち着きを隠せずにいて、そんな中ある事に気付く。
吉野の姿がない。
今日、この時間帯に捜査会議が行なわれる事は事前に話していた。昨晩の言い合いが頭をよぎる。昨晩は結局、二人の関係が好転する事はなかった。
これまでも会議等はサボる癖があった。捜査前にまた自宅に行かなければ…と考えていた中で、会議は始まってしまう。
会議室の証明がゆっくりとその明度を落とし、それと同時に一つの死体が浮かび上がる。殺害された、ジャーナリストのものだ。
遺体の状態や殺傷道具、死亡推定時刻等が担当課から説明されていく。
「更に、自宅を調査した所…PCから暗号化され隠されていたデータを発見しました。」
スクリーンに映し出されていく、人や建物の写真。人物写真にあっては、見た事のある政治家たちのものもあった。
政治家専門だから当然か、しかし暗号化され隠されていたとなるとただの写真ではない。
恐らく、事件に関係しているかもしれないが…。あまりにも数が多い。だからこそ、現場経験のある刑事たちから倦怠感があらわになった。
「えー、このデータの人物、建物について地域課と刑事課でまず、特定をお願いします。」
どこかの席から、ため息が聞こえて来た。
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