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「面倒な事だな…」
会議終了後、集まった刑事課一同。部長クラスの刑事が、机に乱雑に置かれた写真を見ながらそう呟いた。
「人ならともかく…この家だよ。ただの一軒家…住宅街の中にありそうなやつだ…」
係長がため息をつく。一同の目に不安が滲んでいる。
「どうします?」
「ありがたい事に大体は地域課が目星をつけてくれてる…。一軒ずつ当たっていくしかないだろ…あとは」
「聞き込みですねぇ…」
「人海戦術が出来るほど人手はいないが…しらみつぶしにしていくしかない。」
悩ましげに頭を抱える刑事たち。だが、ここで険しい顔で睨み合ってる訳にもいかない。刑事課の指揮権を持つ課長が、写真を手に配り始めた。
「お前らはこっち。多分、南側だろ。それから…」
出雲の下にも写真が回って来た。どこにでもある、一軒家だ。しかし、他の刑事たちよりかは明らかに写真が少ない。
「出雲、お前は鉄砲玉を連れて、そこ。聞き込みだからなぁ?ちゃんと手綱を握ってろよ?」
そういう事か、と頷く。適材適所というやつ。鉄砲玉…吉野に聞き込みで結果を出す事なんて期待されていないのだ。むしろ、変ないざこざを出してほしくない。
聞込みはほどほどにして、もしもの時の為にいち早く駆けつけろ…というやつだ。
「無闇な事はさせるなよ?あいつはともかく、お前には未来があるんだ。毒されるなよ?」
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