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「何、何してんすか?!ちょ、吉野さん?!」  あまりに当然のように中に入る吉野を止める事が出来なかった。外から半身の状態で足を止め、遅れて止める出雲。 「わかってますって、出雲さん」  みなまで言うな、と笑って見せる吉野。その顔を見て、思わず安心した出雲。  だったが、吉野は出雲に背を向け、屋内に身体を向けると頭を下げた。 「お邪魔します」  挨拶をして靴を脱ぎ、屋内にあがった。一瞬、理解が出来なかった出雲。遅れて思考が戻って来て、一旦外を確認して、まだ大丈夫だと判断して吉野に視線を戻すが、既に彼女の姿はない。 「ぁあッ…もっ…非人間めっ゙」  行き場のない不満の声を漏らし、遅れて出雲も屋内に。吉野の後を急いで追うが、彼女は2階に上がる階段を見つけて上がろうとしていた。 「何してんすか?!」  一応、小声で問い詰める出雲。外の気配に意識を向けながら、まだ連れ戻せる奇跡にかける。 「ちゃんと靴は脱ぎましたよ?」 「不法な侵入の時点で土足なんて関係ねぇんすよッ!」  しかし、吉野は聞く耳を持たずで、2階に上がって行ってしまう。  これは酷い。今まで色んな事はあったが、断トツに今回は不味い。冷や汗が止まらない出雲は、本当に家主がいないのかと1階を見て回り、その間も誰か帰って来ないかと懸念し続けた。  自分の警察人生もこれで終わりか、と予期する中で…出雲もある異質さに気づき始めた。  不安と不満と緊張…気を張り続けたおかげか、その異質さがより鮮明になって来た。  なんてことはない、自宅。テレビ、ソファー、机、戸棚…生活に欠かせない家具とその配置、人が住んでいる、少なくとも2人以上の家族が。  だが、だからこそおかしいのだ。  
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