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「ナイフを捨てろッ!!」
これまで何度も直面した、人の命が失われるかもしれない瞬間。
警視庁刑事1課の刑事として2年努めている、出雲健はそれでも冷静ではいられなかった。吐気すらする。
「お前が捨てろッ!銃を!捨てろッ!」
追い詰められた犯人である男は、人質の女性の首筋にナイフの刃を押し当てて恫喝する。
「…」
緊張の生唾を飲み込む出雲。
「この女を殺すぞオラァ!!」
感情が高ぶり、最早聞き取りにくい男の言葉。それと同時に瞳孔の開き具合が、まともな人間のそれじゃない。
恐らく、本当に殺す気だ。
「聞こえねぇのかぁ!!」
男は怒鳴り声を上げながら、ナイフを出雲に向かって突き出した。
その瞬間だった。
ビルとビルの隙間から、闇に溶け込んでいたかのように、出雲の相棒…吉野静が姿を表した。
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