クリスマスイブ、初恋の君が目の前に。

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 お昼はパスタのお店で一緒に食べて、その後は街の写真を撮ったりして。予定よりも長い時間いることになったから、街から少し離れた雪景色が綺麗だと噂の場所にも行くことが出来た。  まるでデートをしているみたいで。イルミネーションの時間まで彼と一緒にいられたから、すごく幸せだった。  イルミネーションの点灯は17時から。ちょうどその時間に駅前に着いた。この街でのメインのイルミネーションはここのクリスマスツリー。  ツリーの前で彼と一緒に点灯されるのを待った。  心の中でカウントダウンが始まる  5、4、3、2、1……。  ついに点灯した。  雪と夜空の中で咲いていた緑色のクリスマスツリーはカラフルに輝き出した。 「綺麗だね、見れて良かった。教えてくれて、ありがとう」  そう言いながら彼を見ると、彼と目が合った。微笑み合うと再びツリーに目をやった。  ツリーを見つめていると、彼が私の左手を握ってきた。ちらっと横目で繋がっているふたりの手を見る。  手袋越しの感触だけど、手の暖かさもほんのり分かる。  ドキドキと安心が混ざったような、不思議な気持ちになった。 「今日会えて、本当に良かった」  彼はツリーを眺めながらそう言った。  私は彼を見つめた。 「私も……。中学卒業してから一回も地元ですれ違うこともなかったのに、ここで会えたのってすごい偶然だよね」  彼がこっちを見て、目が合う。 「朝、駅で小春ちゃん見かけた時、めちゃくちゃ急いで小春ちゃんのとこに行ったんだ」 「急いで…そうだったんだ……」  朝、ふわっと現れた平野くん。  急いで私のところに来てくれていたなんて、全く気がつかなかった。  急いで来てくれたんだ、私のところに――。 「小春ちゃんのところに行って話しかけないと、これからも後悔し続けるのかな?って思ったから」 「これからも?」 「実は、中学卒業してから小春ちゃんとすれ違った時があって……」 「えっ? いつ?」 「ちょうど1年前くらいかな? 地元の駅前のベンチに小春ちゃんが座ってて。話しかけようかしばらく迷ってたら、彼氏らしき人が来て一緒にベンチに座って楽しそうに話していたから、通り過ぎた」 「ちょっと待って? 通り過ぎたとか……っていうか、私、恋人いたことないよ。もしかして、男の子って弟かな……」 「弟……彼氏じゃなかったんだ。そっか、そうだったんだ……」  彼は深いため息をついた。 「平野くんは、誰かとお付き合いしたことあるの?」 「俺も恋人いたことないよ」 「意外だなぁ。平野くんモテそうだから、誰かと付き合ったことありそうだなって思ってた」   「……だって俺は、小春ちゃんのことがずっと好きだったから。好きな人いないとか、さっき嘘ついちゃったけど」  信じられない言葉。 「それも、嘘?」 「ううん、好きなのは本当」  驚きすぎて言葉が何も出てこない。  頭の中がぼんやりしてきて何も考えられなくなった。目の前のイルミネーションの光もどんどんぼやけてくる。  彼は私と繋いでいた手を離すと、鞄の中をあさりだした。 「急にこんなこと言ってごめん。焦るよね……これ、ティッシュ」  私の目から溢れそうな涙。それを拭くためのティッシュをくれた。 「なんかこっちこそごめんね。ずっとずっと片想いだと思っていたから……」 「片想い?」 「そう、私だけがずっと好きだったと思っていて……」 「小春ちゃんが、俺のこと?」  彼はすごく驚いた様子だった。 「うん。ずっとずっと好きだったんだよ! 小さい頃からずっと」  秘めていた気持ちを伝えると、涙も溢れてきた。 「小春ちゃん……ずっと会いたかった」  彼は私の手をさっきよりも強く握ってくれた。  私もぎゅっと、強く握り返した。    しばらくツリーのイルミネーションを眺めてから、街に浮かぶ綺麗で静かなイルミネーションも見て回った。  見終わると、誰もいない駅のプラットホームで帰りの電車が来るのをふたりで待った。  ふわり優しい雪が降ってきた。 「小春ちゃん、来年も一緒にイルミネーション見に来たいな」 「うん。私も一緒にまた見たいな」  そう言って、私たちは微笑みあった。 。°.。❅𓈒◌°.。゜.❅𓈒◌。・。❅𓈒◌。。❅𓈒◌°.。゜.❅𓈒◌。・。。❅𓈒◌°.。゜.、。  電車が来るまでずっと平野くんと手を繋いでいて、心の中も暖かかった。
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