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「?!」
「未来さん。実は僕、数々のペットショップのオーナーなんです」
「へ……?」
「それで、この間未来さんのスマホの待ち受けを見て、すぐにこの子だって分かってしまって」
「……あ」
「で、ちょうどこの子を期間限定でお試しにこっちで営業してもらおうと思ってて。でもまだ内密事項だったから未来さんにも言えなくて。本当の営業は明日からなんだけど、未来さんのためだけに今日は一日早くこの子をお披露目しに来ちゃいました」
そう言って菱田は猫の前足を自由自在に動かして見せる。
「嘘……」
「お見合いの時にもチラっと言ったんですけどね、ははっ。触ってみますか?」
そうか、話を聞いていなかった私が悪いのか。
もしあの時に菱田さんがペットショップを営んでいるって知っていたら、どうしていただろうか。
未来は震える手でポケットから写真を取り出し、目の前にいる猫と写真の中の猫を交互に見つめる。
「ハ……ハクだ……。ハク様だ……」
どこか違いを見つけようと思ったが逆効果。
むしろ肉球についている斑点の位置まで同じなことを発見し、すり足で壁際まで下がると、ぺたりと座り込む。
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