プロローグ

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プロローグ

 一目見ただけではその魅力には気付けない。  知り続けるからこそ彼の魅力が分かる、とはよく言ったものだ。    無口で愛想もなくて、女の子の扱いだって上手くない。  こんな奴のどこがいいんだか。って思っても周りの人は言うんだ。  あー、マジかっこいい。天使。神様はいたんだ。死ぬ。  って。  当時の私は、死ぬって何? 死ぬわけないじゃん。って思っていた。  かっこよすぎて死ぬってどういうことだろう。  心臓の動きが早くなりすぎて、息絶え絶えになって、酸素不足になるってこと?  分からない。何が良いのか分からない。  だって一生会えないのに。  会えたとしても、会話することも、触れることも、絶対に出来ない。  どんなにお金を積んだって叶わないんだ。  だけど、それでも何故かお金を落としてしまう。  ――――それが”推し”。
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