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なんとか繁忙期の母の日当日を迎えて、洋子さんに協力を得て無事終えることができた。
「終わったー!」
日曜の夜、仕事が終わり制服を着替えながら同僚の紗都美が叫んだ。
「美桜も復帰早々やりきったね」
「お疲れー!今年も地獄だったねー」
「ね、帰り一本だけ!飲んで帰ろ!」
「あー……」
洋子さんに唯を預けているのでちょっと気が引ける。
「あ、そっか授乳してるのか…一本だけ付き合って!このアドレナリンバンバン出てる達成感の喉の渇きにはシャワッとしたやつをグイッとして帰りたいのよ」
「確かにね……よし!行こう!うちミルクで育ててるからお酒大丈夫だよ」
まぁ一本くらいなら酔わないだろうしバレないか。とコンビニで買って公園で乾杯しよう!とベンチに座った。
疲れて喉もカラカラ、頑張ったし自分へのご褒美に久しぶりにお酒を飲みたい。
誘ったの私だし奢るわ、と言われて紗都美に差し出されたのが500mlでしかもアルコール度高めのストロングで自分で買えばよかった……と後悔しつつ受け取った。
「で、結婚生活どうなん?」
「んー…まぁ、ぼちぼちかな」
「こんな遅くまで働いてて旦那怒んないの?今日日曜で休みの日だろうに」
「理解があるの…かな」
……正確には金がある。か。
「あそー。謎だな」
「うん…謎が多くて…まだ掴みかねてる」
「へーまぁ今までがクズばっかだったからサラリーマンてだけで安心するけど。前…バンドマンとーバーテンダーと…美容師はいたっけ?」
「元カレが美容師」
「3B制覇しちゃってるじゃん。美容師ってちゃんとしてそうなのに……て元カレってあいつか」
「ほぼヒモだった美容師だよ」
「ははっあいつのせいだもんね沖縄行き決めたの、てか美桜男見る目なさすぎない?とりあえず旦那に感謝しときな」
「うん…ごもっとも…」
それは本当にそうだ。ど正論すぎてなんの反論もない。
「旦那の話題はいつもはぎれ悪いね」
紗都美に相談したいものの、隠していることが多すぎて今更打ち明けられない。もどかしい思いでどうしても曖昧な返事になってしまう。
「そう?かな?」
「彼氏できる度にドン引くくらい惚気てくるじゃん。ウザいくらい。なにマリッジブルー?あ、でもそれは結婚前のやつか…まぁそのくらい慎重な方が美桜はいいのかもね。でも周りからしてみたらそういうの面倒だから幸せアピールしてよ。てまぁそれも面倒なんだけどさ、でも結婚てそういうもんであってほしいのよ、独身の憧れでいてよ」
「そっか…」
「じゃ、帰りますか。ま、ミステリアスな旦那と仲良くね」
ポンッと肩を叩かれて、お先ーと嵐のように言いたいことを言って帰っていく紗都美の背中を見送った。
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