とある3月

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 車をエントランス前につけようと道路を曲がろうとしたら「待って」と言われ、 「あ、そこは入らずにそのまま直進して」  疑問に思いながら、はいと答えてウィンカーに掛けた指を外す。  その後も誘導されホテルの裏手にある駐車場に直接車を入れるよう指示された。 「こっちだと客室遠いですよ?」 「大丈夫」  車を駐車して、 「今日はありがとうございました。楽しかったです」  そう私が締めの挨拶をしても彼がシートベルトを取る気配がなくなかなか車から降りない。 「……どうかしましたか?」 「あー…」 「?」 「もう少し一緒にいたい……」 「えっ…」  そう言った彼の前髪越しの瞳に釘付けになってしまった。 「はい……」  逃れられないー…  なにかの魔法をかけられたかのように言われるがまま車を降りた。  ホテルのプライベートビーチで夜空を眺めた後そのまま彼の宿泊している部屋へついて行ってしまった。
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