とある3月

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 そこがまさかの最上階のスイートルームでびっくりしてしまった。  こんなラフな格好をしているがどこぞのセレブかなにかなのだろうか。  3年間勤めたホテルの未開の地を最終日にまさかこんな形で入ることになるとはー…  置いてあるどれもが洗練されていて無駄がない。  人の宿泊する部屋だとわかってはいても、物珍しくて美術館で絵画を鑑賞するようにゆっくり見て回って、最後バスルームを見学していたら後ろからついて来た彼に 「一緒に入る?」  あまりの直球な言葉に驚いて振り向く。  目が合った。  ジッと見つめられた瞳から逃れられない。  だいたい部屋にのこのこ着いてきている時点で少しの期待もしていないわけではない。  沖縄最終日のホテルのスイートルーム。  目の前には探るようにこちらを見つめてくる強い瞳。  この時の私は達成感と開放感に溢れていたし、本当に気が緩んだんだと思う。  彼が答えを促すように軽く口付けた。「もう決まってるでしょ?」そう眼差しから熱が伝わる。  3年間頑張ってきたご褒美を神様がこんな形で用意してくれたのかな?  思ったより刺激的なプレゼントだな…  そんなことを考えながら返事の代わりに今度は私からキスをした。
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