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「唯、それはパパがいたいいたいだよ」
そう言って暁人の座るソファの前にしゃがんでギュッと小さく握りしめている唯の手を優しく開かせ、暁人の前髪を助け出した。
「あ、ありがとう」
頭を上げてほっとしたような表情に自然と微笑み返した。
唯の小さい手を取ったまま、見上げて
「暁人さん」
「うん……」
「今日の出来事は本当に怖かったです」
怖かった。
崇雪に唯を触られそうになったとき。
守らなければ!と思った。
あの時、暁人が来てくれていなかったらどうなっていだろう……
「ごめん……」
「でもそれは暁人さんのせいじゃないです。私も軽率でした」
「いや……」
「でもだから離婚しましょう、と言っているんじゃないんです」
「え」
「あの……婚約者さん?とは本当に大丈夫でしょうか」
もしまだ何かしらのつながりがあったり、仕事上に差し支えがあるなら、私は身を引いて元の居場所に戻るだけ。
私の言葉を聞いた暁人の眉間に皺が寄った。険しい表情に一瞬息を呑む。
「玲奈か……なにかされたりしたか」
「え!い、いいえ。なにも。ただ……」
「ただ?」
「私よりは暁人さんにふさわしい方だと思いますし、お仕事上も……っ」
暁人がそっと近づいて、唇に優しい感触がしたー…
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