エピローグ

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エピローグ

「お母さーん、お父さーん来たよー。すごい久しぶりー4年ぶりくらい?ごめんごめん沖縄行ってた。来なさすぎてるね」  梅雨が明けた7月も終わりのある晴れた日、父と母のお墓参りに来た。  もうすでに猛暑の兆ししかない日差しを浴びながらお墓に水をかけた。かけた途端干上がりそうな熱気の中唯はベビーカーで汗だくで寝ている。 「家族が増えました!こっちが唯だよー。孫でーす。パパは暁人さんって言うよ。今日は仕事で来れなかったんだけど」  そう言うと、なぜか一緒に行くと言って……  まぁどこからかじっと見守られてるよりは一緒に行動した方が気が楽だ。お墓参りに同行してくれた香奈子が隣で手を合わせながら 「お久しぶりです。かなぶんです。あっきーはまた今度連れてきます」 「え?!」  驚いて香奈子の方を振り向くと、眉間に皺を寄せて怠そうな表情で睨まれた。 「かなぶんと……あっきー?」 「あっきーは専務すよ。かなぶんは私。プライベートなことなんで、そこらはご了承ください」 「あ、いや、その二人……知ってるんだけど……」 「はぁ……そりゃそうでしょうよ」 「え?!な、なんで」 「知りませんよ、自分で勝手に忘れて思い出してって…ちょっとは脳活みたいなことしたらどうすか。今後が心配になります」 会うたびに辛辣さが増す香奈子に何も言えなくなってしまった……
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