ラストバトル(その2)

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ラストバトル(その2)

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。 また、本話には少し過激な表現が含まれます。決してマネしないで下さい。  “バタン”  僕は執務室のドアを力いっぱい開けた。  部屋の中にはSPに守られた首相がいた。 「あー、君はさっきの」と首相は記念撮影した僕を思い出したようだ。  僕は包丁を取り出すと、大声で叫んだ。 「今日はお願いがあって参りました!」  SPが射撃しようとするのを手で制した首相。 「どういう内容だ?」 「辞任して下さい。辞任してくれなければ、この場で僕は……」  包丁を腹に当てる僕。 「死ぬのか?」と首相は静かに言った。 「はい」 「何のために?」 「日本を……救うためです」  首相は僕を見ながら「そうか」と言った。何かを考えている。 「分かった。君は勇敢な男のようだ。君が日本のために命を掛けるのであれば、私も誠意を見せるべきだな」 「じゃあ?」  嫌なやつだけど仲間のために時間を稼いでくれたブルー(財務省の山田)  敵の注意を引付けてくれたレッド(国交省の田中)とイエロー(総務省の佐藤)  血を流しながら警官隊の動きを封じてくれたグリーン(防衛省の鈴木)  チェリー・ボーイズが僕(ピンク)にバトンを繋いでくれた。  そして、僕の願いを首相が聞き入れてくれた。  仲間の犠牲は無駄ではなかった、僕はそう思った。  でも、僕の期待は直ぐに裏切られることになる。  僕が見たら首相の眼鏡がキラッと光った気がした。  そして、首相はニヤニヤしながら僕に言った。 「君がここで死んだら、私は辞任しよう。さあ、死になさい」 「……」  ――僕が死ぬのが先? 「本当ですね?」 「ああ、本当だ。約束する」  首相はニヤニヤしているが、嘘を吐いているようには見えない。  いや、首相はこのゲームを楽しんでいるのか?  僕が死んだら、首相は辞任する。そうすれば……日本は救われる。  レッド、ブルー、グリーン、イエローの姿が浮かぶ。  首相を辞任させるために、チェリー・ボーイズが僕に繋いでくれた。  そのバトンを受取った僕。  僕のやるべきことは一つ。  僕は覚悟を決めた。  包丁を上に引き上げた。 「うおぉぉぉぉぉーーーー!」  僕は気合を入れて包丁を腹部に突き立てた。  ** 「起きて! ねえ、リュウくん、起きて! 遅刻するよ!」  僕は彼女の声で目を覚ました。  顔にベットリこびりついた汗をスエットで拭う。  ――夢か……それにしても……やけにリアルな夢だったな 「ねえ、寝言で『グリーンーーー!』って叫んでたけど」  寝言が聞こえていたらしい。  恥ずかしいことを聞かれていなければいいのだけど。 「あぁ、あれね。夢でご当地ヒーローになってたんだ」 「へー、楽しそうだね」  ――全然、楽しくなかった……  とはいうものの、面倒だから説明するは止めておこう。  それに……茜の話をすると怒られそうだし。  さて、今日も仕事だ。  僕は職場に向かうためにノソノソとベッドからはい出した。 <番外編終わり> 【後書き】 番外編はこれで終わりです。中身がないストーリーに、お付き合いいただきありがとうございました。 『第11章 投資被害から国民を守れ』は投資詐欺、詐欺ではないけど損する取引を紹介します。 途中まで書いているので、もう少ししたら更新します。
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