確かに恋だった。ー曜日女になれない女ー

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まだ1カケラに満たない恋心は燃え散ってはいなかった。 トウゴと初めて大きな喧嘩をした。 原因は栗原のことだったと思う。 その日ーー、私は初めて栗原と寝た。 慰めて欲しかった。 奪って欲しかった。 けど栗原は私の期待には応えてくれない。 ずるずるセフレの関係は続いて。 「生活できない、お金がない」って栗原が私の家に転がり込んできて、「嫌」って言えばいいのに拒否できない私。 1カケラに満たないハズの恋心は確実に燃え上がってた。 「勘違いじゃねーよ。好きだった。美波の気持ちが知りたくて、’’確かに、恋だった“を描いていたんだ。美波の俺に見せる顔は全部俺を好きなんて思わせてくんねーから。どんな女を描いても、女の向けてくるどの表情も美波は俺にしてくれなかった」 私を睨んでくる栗原は泣いていた。 まるで私を責めるように。 「好きじゃなかったら、アンタに抱かれてない。そこまで軽い女に見えた?大学の時は確実にアンタだけを見てたよ。でもトウゴはさ、そういう私を込みで好きって言ってくれたの」 言ってしまえばゲームオーバーな気がした。 1カケラに満たない恋心は燃え散った。 栗原と私はこれで終わりなんだろう。 トウゴと私も終わり、かな。
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