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諦めたように、乾いたように笑うトウゴ。
いつかはバレると思っていた、いずれは気付かれると知っていた。
それでも私は栗原との関係をやめられなかった。
「ゴメン、そこまで冷静ってワケでもないし帰るわ」
トウゴは私の目の前から消えた。
人ってさ、ホントに絶望した時は何も考えられないんだね。
頭の中にはトウゴばかりで、好きなのに上手くいかなくて。
これで私たち終わりなのかな?
栗原と付き合うなんてアリエナイ。
だってこいつを好きだったのは大学生の時だよ。
第一、栗原にそんな気ないでしょ。
「私も、帰る。今までゴメン、アリガト」
さよならと続けたかった言葉。
遮られたのは、栗原に抱き締められたせい。
「俺のコト、遊びだった?」
首に顔を埋める栗原に私は嫌々と首を振る。
「ゴメンね、抱かれてあげられなくてさ。私が好きなのはトウゴなの」
さっき栗原が言ってたことを真似して栗原を傷付けたかった。
「それはいつから?それはいつまで?」
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