1人が本棚に入れています
本棚に追加
けど大学の時は人物画なんて描かなかったし、絵を描くことと、サークルで遊ぶことに夢中ってかんじで相手にもされなかった。
トウゴの優しさに惹かれて、トウゴは私が栗原を好きって知ってたの。
それでも私を好きだから待ってくれて、そんなトウゴの優しさが嬉しくて、私もトウゴの気持ちに応えたいって思った。
付き合いだして2年。
仕事も恋愛もそこそこ上手くいってた時に、栗原と再会した。
ゆるいパーマの茶髪、無精髭、死んだ魚のような生気のない暗い瞳。いかにもホストって服装の栗原と目線が合った時、火花が飛び散った気がした。
大学の時に好きだった残滓だろうか。
お互いその場は知らないフリをした。
それで終わるはずだったのに。
市内にある小さなイベントホールを使って何かしてくれと依頼が来たのはその直後。
たまたま手の空いていた私が担当になった。
すぐに栗原が私の頭に浮かんでた。
1カケラに満たない恋心は私を突き動かした。
トウゴにイベントの話をすると喜んでくれて私も嬉しくなった。
イベントは大成功に終わって、栗原ともそれきりのハズだった。
でも栗原の方から私にちょくちょく連絡が来るようになってて。
「ご飯作って」「洗濯して」「髪がまとまらない」
小さいことで私はプライベートの時間に呼び出された。
まるで都合の良い家政婦みたいに。
最初のコメントを投稿しよう!