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「いえ、なにもありませんが」
「そうですか。何か困ったことがあれば、いつでも言ってくださいね」
「わかりました。お気遣いありがとうございます」
少年のような笑顔を見せたのち、佐竹さんは帰って行った。
会社の帰りに、また視線を感じる。
無視をしていたが、どうにも気味が悪い。
立ち止まり振り返る。
誰もいないが、人ひとり隠れられそうなところはいくつかある。
もし私が振り返るのを感じて隠れたとしたら、かなり素早い。
周りを見わたした後に言った。
「誰かいるの。誰かいるんでしょ。隠れてもばれてるわよ。出てきたらどう」
なんの反応もない。
しばらく見ていたが、私は諦めてそのまま帰った。
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