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数日後、佐竹さんが訪ねてきた。いつもの笑顔で。
「田舎から送って来たんですよ」
かごに入った柿が十数個ほど。
「まあ、ありがとうございます」
「いえいえ、私一人では食べきれないんで。礼にはおよびませんよ。ところで」
「はい」
「なにか困ったことはありませんか。あれば遠慮なく言ってください」
「いえ、なにも困ったことはありません」
「そうですか。もう遅い時間ですね。おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
食べた柿は、今まで食べた柿の中で一番おいしかった。
やはり視線を感じる。帰り道。
ほぼ毎日のように。
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