fine(終わり)

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コンクール前日の朝、いつも通り時計の代わりにつけっぱなしのテレビ。 公共放送のニュースが流れる。 事件も、事故も、天気予報も、私の耳に入ってこない。 昨日から、私はどうかしている。 ふと気づくと、律を考えている。 怪我してもいいって言っていた。 何に対して嫌だと言いたかったの? 朝から頭が重く痛い。 明日、本番なのに、顧問の私がこんなではいけない。 しっかりしろ、と自分に発破をかけ、頭痛薬を口に放り込むように飲んで、出勤した。 学校に着くと、既に部長の小田さんと副部長でクラリネット担当の白田さんが音楽室にいた。 三人で明日のスケジュールを確認した。 出番は五番目、午前10時とタイムテーブルにある、8時半受付、9時からパーカッション以外は第一リハーサル室で楽器準備と音出し。9時25分第二リハーサル室へ。そして、9時45分舞台袖のパーカッションと合流する。  しばらくすると、武内さんと律が音楽室に入ってきた。 律は、特に変わった様子はなく、武内さんと笑顔で話しながらきて、音楽室に入ると何人か生徒に話しかけていった。 コンクール前、最後の練習。 指揮台に立ち、私は生徒達、特に三年生一人一人に目を合わせる。 全部で46名。吹奏楽では多くない部員数。高校から始めた生徒も可能な限りコンクールに出ないと間に合わない。 三年生は各パートに一人二人しかいない。 私の役割は目の前の生徒達のため、やるべきことをやる。 私は心の中で、自分を叱りつけた。
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