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ずっと望んでいたことだ。
しかしレオに向かって伸ばそうとする手は動かず、羅夢は必死にもがいた。
「ま……って!」
ハッと羅夢は目を開ける。掛布団と毛布が右腕に絡みついている。
道理で動かなかったはずだと羅夢は納得しながら起き上がった。
夢の内容はハッキリと覚えていて、推しに会えたことに喜びを感じると同時に物足りなさを覚えた。
その日の夜も、羅夢はホットミルクに〈夢見薬〉を混ぜて飲んだ。
今度はレオと同棲している夢を見た。
夢の中での幸福感はハッキリと覚えており、目覚めた瞬間、喪失感に襲われた。
(ずっと目覚めなくていいのに)
推しであるレオと時間を共にするのも、言葉を交わせるのも夢の中だけだ。
初めのうちはそれを幸せだと感じていた羅夢はいつしか、物足りなさを感じるようになっていた。
(もっと。もっともっと、レオ様と話したい!)
夢だけでは足りない。たった7時間、眠っている間の時間を共にするだけでは全く足りなかった。
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