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「わっ、若旦那!!
魔物……魔物でっせ!!」
「何……! 魔物……!?」
馬車の行く手を阻んで現れたのは、二匹のオーク。
オーク達も人間と共通の言語を用いているのか、彼等の話し声も聞き取れる。
「兄者! 行商人の馬車がいるよ!」
「でかしたぞ弟! あの馬を殺して肉を喰らい、馬車の荷物を略奪しようではないか!」
あまりにも露骨で単純明快な会話の内容だが、行商人の装備は護身用に携帯している果物ナイフ。
ケイは"どうせここら辺は魔物が少ないから襲ってこない"と過信して、父から貰ったマスケット銃を実家に置いてきてしまった。
対して、兄者と呼ばれたオークは弓矢。
弟らしきオークは槍を持っていた。
「ひぃぃっ! お助けをぉぉ!」
行商人は怖じ気づき、頭を抱えて踞ってしまった。
「何やってんだよおっさん!
ああ、もう……クソが!」
痺れを切らしたケイは馬車から飛び降り、落ちていた石ころを握り、大きく振りかぶってオーク目掛けて投げつける。
豪速球……ならぬ豪速石は兄オークの頭に渋い音を立てて当たる。
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