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魔刻歴、一五一六年。 とある夏の事。
ケイの歳は十八になり、ノーツクの街で馬車の修理工として勤める事が決まり、翌日には出稼ぎへ出る事になっていた。
今日が父と最後になる炭鉱の手伝い。
いつもの様に夕陽が落ちた頃、ケイとヒロイが炭鉱の岩石にピッケルを打っていた時だ。
岩盤が砕け、砂のように柔らかい土が見えた。
その砂を手で払うと、何やら白い金属が出てきた。
それもただならぬ大きさではない。
白い金属の上には、ガラスが張り付いていた。
「親父! なんだこれは!
こんな物、見た事無えぞ!」
驚愕するケイに、ヒロイも冷や汗をかきながら首を傾げている。
「さあな……おらも産まれてこのかた、見た事ぁ無ぇなぁ。
しかし出てきたとこだけ見ても、相当バカでけぇのは確かだぁな。
ケイ、お前は明日、街に出るんだろ。
何なら今、村の炭鉱夫を全員呼んで、掘り起こしちまおうぜ」
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