プロローグ

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 関崎ケイ。  それが俺の名前だった事も覚えている。  出身地は北海道。  確か記憶によれば………  二十トンのヒアブクレーン車で積載許容ギリギリで俺が所属する会社のヤードへ荷物を降ろしに向かっていた最中の事だった、筈。  冬の凍結路面、あろうことか坂道を下っている時に減速しきれず、ガードレールを突き破り………  ヒアブは横転。  僅か勤続二年、そしてヒアブ担当になって数ヶ月。  プロドライバーたるもの、情けない。  身体中が痛い。  猛烈な激痛。  意識は遠退く。  フロントガラスはヒビだらけ。  ステアリング(ハンドル)のエアバックが開いた様で、既に萎んでいた。  萎んだ白いエアバッグが、俺の血で赤く染まっていく。  それからは……何も覚えていない。  
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