8人が本棚に入れています
本棚に追加
「"ISUZU"………読めるぞ。
これ、ローマっていう別の世界の文字で、"い·す·ず"って書いてある」
白い金属の塊を目の前に、ハッと何かを思い出した様に、瞳を大きくしている青年の姿が。
その青年こそ、ケイだった。
「ギールのぼっちゃん、何でこれが読めるんだい?」
「分からない………だが、どこかでこれを見たことがある気がする。
だが、この文字がこの塊の名前じゃない……」
ケイは銀メッキの彫刻に触れながら、額をガラスにくっつける。
「………ISUZUっていうのは職人達が集まって、これを作った集団の名前だ。
だけど、確か"愛称"みたいなものがあった筈………」
白い金属の塊の後ろに鎮座する鉄の腕。
その腕の肩と思われる部分に、椅子と六本のレバーが付いている。
鉄箱の片側には梯子。
「妙に見覚えがある……
どこかでこの梯子を登って、その腕の椅子に座った気がする。
コイツの名前は確か………」
最初のコメントを投稿しよう!