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炭鉱夫たちはスコップやピッケルを担ぎ上げ、そそくさと家路につく。
その場で両膝を突き、胸の前で鍵を握りしめるケイの頭を、ヒロイは二回ほど優しくぽんぽんと叩いて気遣う。
「まあ、こんな事もよくあるさぁ。
目の前まで追っていたお宝が眼を眩ましちまうこともよぉ。
良かったなぁ、昔の旅人が埋めた宝箱がミミックだったよりマシだろ」
ケイは鍵を握りしめたまま、その日はヒロイと共に炭鉱を後にした。
_ _………その後、家の自室のベッドで横たわるケイは一向に眠れず、左手を頭と枕に挟め、仰向けになって右手で鍵を見つめていた。
それと同時に、彼は前世で起きたことを全て思い出す。
「なんで忘れてたんだ……
あんな忘れもしないような出来事……
本当はあの時に死んでいなければ、もう十八年前にもなるのか。
あの日の事故から死んで、なぜか三途の川じゃなくて湖だったけど姉貴が居て……
もしこの世界に持っていくならヒアブって答えて……
今さらだよな。
だって俺、あの世界でもし生きてたら四十三歳じゃん。おっさんじゃん。
終わってんな……」
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