8人が本棚に入れています
本棚に追加
無気力な笑みと共に、彼は鍵のキーロックボタンを悪戯に押す。
…………すると、先ほど炭鉱で光った時のようにまたもや鍵が目映く輝きだした。
ベッドの上で慌てふためくケイ。
「えっ、ちょっと! ここで光るの!?
ヤバイって、鍵が光ったって事は………
今度は鍵がヒアブの姿に戻るって事じゃね!?」
全長十五メートル。空ですら重量は十六トン以上。
そんな巨大なものが彼の自室である二階で突如現れてしまったら、家は全壊して家族全員が死ぬに違いない。
そう思った矢先…………
鍵は空中で人間のシルエットを写し、ベッドの上で彼に覆い被さるように落下する。
「痛ってぇ!」
「うわっ! えっ、ガチ焦った~
あ、おつまるー」
ケイの身体に覆い被さったそれは、ウグイスのような黄色い声を発する。
彼が感じ取った感触は、まるで雲を掴んだ様にふわりと柔らかな感触。
柑橘系の酸味と甘味の溢れる香りが鼻いっぱいに広がる。
最初のコメントを投稿しよう!