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この世界におけるファッションに基づけば少女の格好は珍しい出で立ちだが、それはともかく、胸の大きさの割に顔立ちはあどけない。
水分を多く含む、見るからに柔らかそうな薄い唇。
しかし目尻は若干キリッとしていて第一印象は知的。
容姿と裏腹に、ケイは脳裏でこう思う。
見た目はめちゃめちゃ可愛いし美少女じゃん……だけど、なんで喋ったらめっちゃギャルなの?
理解が追い付かないまま、ケイが問う。
「あ、あのー……どちら様ですか?」
「えー、アンタがウチの事連れてきてくれるって芹姉ぇに約束したんじゃん。
忘れるとか、マジやばたにえん。
ぴえん通り越してぱおん」
もはや会話が成り立たない。
腹を立てたケイが改めて聞き直す。
「だから誰なんだよ! 名前は!?」
「え? ヒアブだけど?」
「ん? 今、なんて?」
「だからww ヒアブだってww
イスズ·ヒアブ。あ、ミドルネーム入れたらイスズ·ギガ·ヒアブだねw
なんか名前強そうじゃねww
#(ハッシュタグ)我ながら名前ダサくて草生えすぎ案件www」
この世界にインスタもティックトックも存在しないからハッシュタグなんてもの無いよ。
ヒアブ?
このギャルが……あのヒアブ?
何か嫌だ…………
ケイは彼女の正体と見た目のギャップに絶望していた。
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