第一話 選択

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 痛烈な事故の衝撃の後、目を覚ましたのは病室………ではなく。  吹雪だった筈の天候は、雲ひとつ無い青空。  マイナス二十度以下の中で運転していた筈だったが、目覚めたこの場所は温かく心地が良い。  青空の下、眼下に広がるのは緑に息吹く山々と、巨大な湖。  波もとても穏やかで、水面に青空を写している。  これは、ひょっとして走馬灯か何かだろうか?  死後や冥土といった言葉を思い浮かべるなら、"三途の川"というものを一般的に連想するだろう。  しかしここは、そういったものは人間の先入観だろうとつくづく思わされる程、心地の良い場所だった。  
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