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しかし、ギャルの話し言葉に気もくれず、うっとりとした顔でドルトは挨拶をかわす。
「申し遅れた。
私はノーツク市国第六近衛団、警邏部隊所属、第四小隊班長のドルト·グラスであります」
「あー、ね。
ウチ、いすず·ヒアブ。とりま、よろです」
抑揚の無い口調と裏腹に、清々しい微笑みでドルトと挨拶をかわすヒアブ。
ケイと古くからの顔馴染みである事と、ヒアブがケイの従妹であると信じたドルトは、気兼ね無く門を開け、彼らを街へ通した。
………その一連の様子を、藪の中から隠れながら遠巻きで見ているものが居た。
黒いマントを被り、眼が怪しく光る集団。
「……先ほど、強大な魔力を感じて駆け付けてみたが、二匹のオークを一瞬で倒してしまうとは………
一体何者なのだろうか。
これはもしや、我々の脅威となる存在になりうるかもしれん」
「排除致しますか?」
「まだだ。暫く泳がせておけ。
たかがオーク二匹だが、あの少女が戦闘時に発した魔力の強大さは、未だ計り知れていない。
奴らの行動を監視し、我々に危害が加わるのであれば排除しよう。
……しかし、あの莫大な魔力を秘めた少女……上手く行けば我々の手下にしたいものだな。
魔王様に報告しておけ。
奴らはノーツクの街に入った、とな」
「御意」
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