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井戸で油の付いた手を石鹸で良く洗い、午前休憩に入るケイとガストン。
工房の奥にある休憩室の食卓に、アップルパイのバスケット籠が置かれ、二人分の取り皿とナイフ、フォークが並ぶ。
二人は食卓で向き合いながら、アップルパイを頬張った。
すると、ケイの懐から声がする。
『えー、アップルパイじゃん。
ばりエモいじゃーん』
「ん? ケイ、何か言ったか?」
囁き声で「こら、ヒアブ!」と懐にしまっておいた鍵に注意するケイ。
「ああ、いいえ!
俺が住んでたルーペ村の訛りなんです!
"ばりエモい"ってのは、めっちゃ美味しいって事!」
「そうか? お前の父、ヒロイとは古くからの付き合いだが、奴はそんなこと言ってた記憶はないぞ?」
「そりゃあ俺の親父にとってガストン師匠は大事な友達だから、酷い訛りで意味が伝わらないのが嫌で気を使ってたんじゃないですか?」
「仲の良い友人に気を使う事ないだろ」
冷静にツッコミを入れるガストンに、ケイは慌てふためく。
「いや、俺はその、気を使ってない訳じゃないですよ?
ただ単に訛りが出ただけで……」
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