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落胆したケイはその日の夜、ヒアブをトラック形態に変えて乗り込み、ルーペ村まで来た道を辿り運転して帰る。
馬車で帰れば次の日の朝に着く距離だが、流石は現実世界の二一世紀に作られた文明の力。
ケイは本来の姿であるトラックになったヒアブに揺られて僅か二時間ほどでルーペ村に到着した。
実家は皆寝静まり、明かりは灯っていない。
彼は家の自室で、鍵に戻したヒアブを見つめて、家族にどう伝えようか考えた。
………気が付けば、夜が明けていた。
ケイはまたヒアブを少女の姿に変えさせ、相談を持ち掛ける。
「コソコソやってガストンのおやっさんにバレたんだ。
ヒアブ。今度はその姿を家族に見せて、正直に言うよ」
決心のついたケイと裏腹に、ヒアブはダルそうな顔で「え~」と嘆く。
よく晴れたその朝、ケイは自室のある二階から降りると、彼の両親が一階のリビングで朝食を摂っていた。
両親はケイの姿を見て、驚きを隠せない。
「ケイ、お前戻ってきてたのかぁ!?」
「あんた、一体どうしたんだい!?
そんな窶れた顔して!
まさかクビになったんじゃないだろうね!?」
しょぼくれた顔で静かに頷くケイ。
彼の両親は大きな溜め息をつき、天井を仰ぐ。
続けてケイは、両親にこう切り出した。
「あのさ、父さん。母さん。
実は俺、紹介したい人が居るんだ。
その人を紹介した後に、ノーツクで何があったのか話すよ」
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