7人が本棚に入れています
本棚に追加
突然の出会い。
声を掛けたのは、彼女の方からだった。
「やあ、初めまして。
よく来たね。寒くなかった?
それにしても、災難だったね」
"寒くなかった?"
"災難だった?"
何故、この人は俺の事故や状況を知っている素振りを見せている?
俺は思わず、彼女に聞き返してしまった。
「俺が事故った事、知ってるのかい?
なまら(凄く)しばれてて(寒くて)、路面がブラックアイスバーンでさ……
トラックが曲がりきれんくて、事故ったんだけど……てかさ、ここどこ?」
疑問を上げればキリがない俺に、彼女は親切に答える。
「知ってるも何も、君の二十五年間の人生を、ずっとここで眺めてきたからね。
ここは、あの世というのか、三途の川でもないし……何か私にも分からない。
本当はここは、君が作った世界の筈だけど、もう覚えていないよね……?
私も気がついたら二十年ここに居て、貴方を待ち続ける事が使命だって事が何年か前に分かって、ずーっと過ごしてきたけど。
しかし、随分と早く来たね。
本来なら、もっと何十年も先に君がくる予定だったけど、まあちょっと休んでって。
お話相手になってよ」
最初のコメントを投稿しよう!