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オープン!ペットショップ
ユウタと母は夕飯の買い物帰りの道を歩いていた。
「おかあさん。今日の晩ごはんはなあに?」
「野菜炒めよ」
「わーいわーい。あれおいしいんだ」
見ると、街角に行列ができていた。
訊ねてみると、ペットショップが新規オープンしたのだという。その人は親切に教えてくれた。
「それがね、オープン記念で、全部のペットが半額なんだって」
ユウタはねだった。
「なんか買ってえ。いきもの飼いたい」
「半額か。ふーん。じゃあ、並んでみましょうか」
二人は列の最後尾に並んだ。
列はのろのろとしか進まない。
三十分ほど待って、やっとユウタたちも店に入れた。
「あれれ。なんにもいない」
「本当ねえ」
がらーんとしていて、ほとんどの動物が売り切れのよう。おりも、水槽も、もぬけのから。
店主が近づいて来て笑顔で言った。
「もう全部売り切れちゃいました。半額っていうのが効いたな。残っているのは、あいつだけです」
店主は店の奥を指さす。そこには、一匹の小さいブタがつながれていた。
「ミニブタってやつです。最近人気なんですけどねえ。あれだけが売れ残り」
「ブタなんていやだあ」ユウタは不満顔。「ブタなんてかっこわるい。ブタなんてみっともない」
母は言った。
「いいわ。あれください」
「ええっ」ユウタはびっくり。「ブタなんていらないよ。ブタなんて飼いたくないよお」
「いいのよ。いいの。今日の夕飯変更するわ」
母はにっこりと笑った。
「酢豚」
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