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 第一に、コンサルティングを受けられる人間は少数であり、厳選なる選抜によって決まるということ。いわゆる情報商材というものは、申し込めば全員が特典を購入できるのが当たり前だが、そうではないと言う。  選考の基準は明記されていなかったが、厳正な書類審査と面接に合格しなければ、コンサルティングを受けることはできないようだ。青年はまず、この点に興味を持った。  そしてもう一点は、コンサルティングの手法が、マンツーマン指導であるということだった。  今まで彼が見てきた教材系の商材では、PDFの資料を配布して終わりになるケースがほとんどだった。資料に付随して、メールによる質疑応答を受け付けているものもあるが、せいぜいその程度。  しかし、この起業コンサルティングでは、「カリスマ起業家」から直接指導を受けられるらしい。したがって、起業家として着実にレベルアップできる。他にはない唯一無二の特典であると、サイトには記載されていた。  今になって思うと、これらの特徴を考慮したとしても、大きな期待をかけるのは間違いのような気がしていた。定食を食べ終わる頃に、青年は正常な思考力を取り戻した。  選抜制と謳っているが、実際には申し込んだ全員を合格させているようなインチキかもしれないし、マンツーマン指導というのも、メールやLINEで質問に回答するだけでも「マンツーマン」と言うことができる。  そもそも、カリスマ起業家とは、一体誰なのだろう?
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