4人が本棚に入れています
本棚に追加
「痩せなくっちゃ!」
光汰に会うためなら
大好きな食レポもお休みしよう!
早速、目指す体重で隣町までの乗船を予約した。
予約が取れたのは5ヶ月後だった。
何がなんでも
5ヶ月後には申請した体重にならなくてはならない。
乗船前に1人ずつ
体重計に乗るため、不正はできない。
「光汰! 私、やるよ!!」
家中の食料を実家に運び出し
サプリメントだけ用意した。
大きなカレンダーを壁に貼って
1日ずつ体重を書き込んでいく。
痩せなきゃ2度と光汰に会えない
その思いは驚くほど食欲を止めた。
会いたい
会いたい
光汰に会いたい
食べたい
食べたい
会いたい
食べたい
会いたい
食べたい
光汰に食べたい
じゃなくて会いたい・・
気がつけば乗船の日になっていた。
あの日のパステルカラーのワンピースは
ネグリジェのようにたっぷりとドレープをたくわえている。
今日は暖かい。
風子は1グラムでも軽くなるように
柔らかで軽い素材のノースリーブと短パンの
セットアップを着て家を出た。
大好きなパステルカラーが軽装をオシャレにしてくれる。
早く会いたい!
やっと会える!
さあ、次は風子の測定の番だ。
風子は軽い気持ちで体重計に乗った。
すると
ビーーーーーーっ!!!
耳障りな警告音が鳴り響く。
「何?」
「お嬢さん・・残念・・少し重いわ・・」
「えーーーーーっ!!」
「あと、300グラムなんだわ・・」
「えーーーーーーーーっ!!」
風子が慌てて靴を脱ごうとすると
「ダメだよ、裸足になっても」
「え・・」
どうしよう
どうしよう
あ! 待って!待って!!
「ハサミ貸してください!!」
風子はハサミを受け取ると
綺麗に巻いた長い髪をザクっと切った。
「もう1度!」
体重計に乗ったが、まだ重い・・
後少し・・
あと、ほんの少しなのに・・
いっそのこと、坊主に・・・・
「ごめんね。お嬢さん・・船を出さないと・・」
船は長い後ろ髪のような汽笛を太く一つ響かせ
風子を残して行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!