残機、あといくつ。

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「おままごとも良いけど、お勉強もちゃんと しないと大人になった時困るのは貴方なのよ。」 私が不服の表情を見せると、母は必ず一枚の書類を見せた。細かい活字でびっしりと注意書きが されたそれは、五歳の私には解読不能であった。 「何て書いてあるの?」 とその都度問うても、返って来る言葉はみたび 同じだった。 「血の繋がりがあっても、家族が一緒に居られる時間は永遠ではないって事。今は健康で若い貴方にも、いずれ分かる日が来るわ。」 * 息が詰まりそうな日々の中、窮屈な家を一歩飛び 出すとそこには自由が広がっていた。虫取をし 野兎を追い駆け、疲れたら木陰で本を読んだ。
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