残機、あといくつ。

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夕日が登るまで遊び尽くし、清々した気持ちで 帰路に着いたある日。玄関先で、寝巻き姿の母がうつ伏せで倒れていた。私の姿を探し、ここまで一人で這って来たのだろうか。 「お母さん…!」 身体を起こしてやると、血の気の失せた顔は すっかり青ざめ脈は完全に停止していた。私が 束の間の自由を謳歌している間に、母は還らぬ 人となっていたのだ。 * 後日葬儀が取り行われた後、祖父母はこんな話 を聞かせてくれた。 祖父母_つまり母の両親は、生まれつき不治の病を患っていた彼女とよくこんなやり取りをして いたと言う。
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