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月の光に照らされた不思議な国に、銀色の流れるような髪を持つ乙女がいました。彼女はその地で「月光の織姫」として知られており、彼女が織る布はまるで夜空を彩る星々のように輝いていました。この織姫は決して日の光に触れず、永遠に大きな月が夜空に浮かぶ谷間に佇む小さな小屋で暮らしていました。
彼女の作るドレスは、まるで冬の霜が降りたかのような純白で、絶妙な模様が入っており、それを身に纏う者はどんな願いも叶うと言われていました。しかし、織姫自身には叶えられない願いがありました。それは、遠い昔に失った愛する者との再会でした。
ある晩、織姫は特別な布を織り始めました。この布は彼女の切なる思いを込めたもので、完成するとき、彼女の愛する者を呼び戻すと信じられていました。朝露のように細かく、夜空のように広がるこの布は、彼女の最高傑作になるでしょう。そして、完成したその時、多くの人々が集まり、遠い昔に消えた愛が、もう一度、月光の下で蘇るのを見守ることでしょう。
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