嫉妬

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 快感を堪える声には頬にキスをして合図を送って小さい声を上げさせ、いつも以上に纏わり付くような中を掻き回せば、頭を抱えるように回されていた手が髪を軽く握りしめる。  いつもより敏感に快感を感じ取るアドラーが望めば望む分だけ与え、同じだけのものを与えられたラープサーは、アドラーの熱が弾けるその瞬間に泣いているような声で名を呼ばれて目を瞠るが、本能が求めるものを堪える必要は無いと最後の一押しを手助けすると白い肌が一瞬粟立ち、ラープサーの髪を掴んでいた手から力が抜けていく。 「……カレ、ル……」  肩で息を整えるアドラーに頷きうっすらと紅潮するこめかみに口付けたラープサーは、少しだけ堪えてくれと告げ、恋人が一足先に昇り詰めた世界に少し遅れて向かうのだった。
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